HOUSE-ST
日本の伝統工法や材料にこだわる
趣のある終の棲家
[クライアントの要望]
敷地は鎌倉の閑静な立地環境にあり、クライアントの終の棲家として環境をいかした計画提案のご依頼をいただきました。日本の伝統材料や素材にこだわり計画を進めたい点、コスト、間取等ご要望がありました。EVやプールを計画する点など具体的なイメージもおもちでした。
[設計視点]
南側所有地内の山林に向けて鎌倉らしい様々な樹木が林立しています。北道路側の住宅地のイメージとは対象的な自然風景があります。居室から山林への景観をつくり出せるよう敷地形状をいかし山林に沿って くの字型のボリュームで建物を配置しました。既存家屋の数奇屋門を保存し再利用する点や道路との敷地高低差を踏まえ玄関や段差のある路地通路のつくり方を検討しました。1階は広縁のある8帖間を中心とし茶の間・台所などを計画しました。風情のある8帖間は竹小舞の土壁下地とし いぶし瓦の方形屋根としました。内部の床柱には亀甲竹を使用し広縁境の障子には本漆を施しました。日本の伝統工法や材料にこだわった造りとなっています。客人を招き入れる茶室としての機能をもち 水屋 露地 炉なども計画しています。2階は現代的なリビングスペースを中心とし浴室や寝室,書斎などを配置しています。各部屋から自然風景を望むことができ樹木や草花を感じる居住空間となっています。日本の伝統材料を現代的な意匠デザインに採り入れる点で設計において様々な工夫をしました。現代住宅では竹小舞下地の土壁やいぶし瓦などは使われる機会が少なくなりました。建築に伝承という役割があるとすれば、これらの材料を使用することは重要な役割があると思います。粋(いき)や趣(おもむき)という言葉の裏には目に見えない歴史や伝統文化の知恵が隠されているものです。日々の時間の流れや、季節の移り変わりを趣と感じる、そこに佇むことで粋を感じる住宅建築となりました。
戸建住宅・鎌倉・和風住宅・床の間・プール・燻瓦・竹小舞・漆喰/木造2階建/227.95㎡(68.95坪)/2011年/神奈川県鎌倉市
DATA
物件名 | HOUSE-ST |
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用途 | 戸建住宅 |
構造 | 木造2階建 |
敷地面積 | 336.56㎡(101.80坪) |
建築面積 | 134.25㎡(40.61坪) |
延床面積 | 227.95㎡(68.95坪) |
計画地 | 神奈川県鎌倉市 |
竣工年 | 2011年 |
総工費(目安)※ | 13,500万円(税別) |