中庭のある家

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックをきっかけに、世界は、大きく変化しました。パンデミックの発生以降、ウィズコロナ、アフターコロナ、ポストコロナ社会へと、さまざまな常識が変化してきました。
社会に大きな変化が起こり、変化が起こる以前とは同じ姿に戻ることができず、新たな常識が定着することをニューノーマル(New normal)といいます。直訳すると「新しい常態」という意味です。
リモート会議や在宅勤務が常態化し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出時には、自宅で過ごす機会が増えました。都市部から離れ、環境の良い郊外に移り住むなど、在宅時間が、家づくりに対する価値観を大きく変化させました。
ニューノーマルスタイル(New normal style)な家づくりへ。このタイミングで、住まいづくりにおいて従来よりも心地よさや、快適な家時間を求める方向へ変化したように感じます。

坪庭は建てものや塀などで囲まれた小さな庭のことをさします。平安時代の神殿造りにおける「壺」と呼ばれる空間に木々を植えたことが壺庭=坪庭の起源と伝えられています。うなぎの寝床と呼ばれ平面的に間口が狭く奥行きのある、京町屋では、建てものの奥に、光や風をとり入れる大切な役割を持つ坪庭があります。自然観を大切にしながら設けられた坪庭は、季節や天候、時の移ろいを感じさせ、町屋の中から眺めているだけで癒やされるような穏やかな気持ちになります。

現代住宅においては、建てものの内側に設けられ、壁で囲まれ屋根のない外部空間を中庭と呼びます。中庭は、京町屋の坪庭と同じく、光や風を室内へとり入れる大切な役割りを持つ空間です。コロナパンデミックを経てニューノーマルを意識した家づくりの中で、中庭は、周辺の視線を気にすることなく プライバシーを確保し、住空間に開放感を与える重要な要素となってきました。ある程度のスペースを確保することで、屋外での新たな使用イメージ、例えばもう一つのリビング(セカンドリビング・アウトドアリビング)となり、非日常意識を創出する存在となります。
弊社では、2020年以降中庭を中心におく家づくりの実績が多く、心地よさや家時間を楽しむ、ニューノーマルスタイル(New normal style)のニーズが増えてきていることを実感しています。
機能性と非日常意識を備えた、中庭は今後の家づくりのポイントになってくるのではないかと考えています。

施工実績

茅ヶ崎市S邸/2024年

LDKは約16.5帖、体感的には中庭も含めると20帖以上の広さを感じます。セカンドリビング・アウトドアリビングのイメージの中庭です。ウッドデッキから段差なく、リビングへアプローチできます。また 玄関土間からも直接アプローチできます。中庭は、エントランスホールとLDK、2階居室へ光を導く中心的なスペースとなっています。南方向の囲い壁の2階レベルには開口部(ピクチャーウインドウ)を設け、日差しが差し込むよう工夫しました。夏はプールを設置し子供の遊び場となりそうです。キッチンで作業をしながら中庭で遊ぶ子供の様子を常に確認できるようキッチンレイアウトを行いました。

厚木市I邸/2023年

三角形状のドッグランのある中庭です。南にマンションや商業施設の隣接する地域にあり、プライバシーの確保と採光をどのように行うかが、設計のポイントでした。
ビルの影に入る前後の太陽高度の低い光や、安定した天空光(雲から反射され地面に到達する光)を美術館の展示室や、京町屋の坪庭の採光手法を用いて 壁面反射により採り入れられるよう高さ4.75Mの壁囲いのある中庭を設計させていただきました。北側の柔らかな光が、中庭から1階LDKや2階各居室へ入ってくるイメージです。開放的でプライバシーのある内部空間をつくりあげる中庭の囲い壁を含む立体的な建築造形は、オブジェのようなイメージでデザインを行いました。

平塚市K邸/2022年

プライバシーの保たれた中庭空間が家の中心にあります。採光通風装置の役割を担い、子供たちの遊び場であり、リビングの一部でもあります。中庭上空の青空が気持ちいいです。
住宅密集地におけるプラバシー確保という視点で、中庭型の住宅設計をさせていただきました。南側は隣戸窓高さに近い構造壁で囲い、壁面に反射する光も考慮した採光装置のようなイメージで設計しました。中庭はDKや玄関より直接アプローチできる構成とし、庇を設け、その下にテーブルと椅子の配置を可能にしました。中庭土間の仕上げは子供が走り回れるよう人工芝がご希望でした。1階は中庭を囲むように、リモートワークスペースを兼ねたダイニングキッチンと、吹抜けのあるリビング、2階は水廻りと個室の構成となっています。

伊勢原市ID邸/2021年

建物基礎を利用した高低差処理や、駐車スペースと建物配置をトータルで検討し中庭案をご提案させていただきました。プライベート空間には、居室と連続するルーフバルコニーや中庭を計画し、余剰空間が日常生活において、より有用なものに感じられるよう設計させていただきました。中庭から各居室へ、心地よい光と影をもたらします。セメントパネルのアクセントウォールやアイアン製の手摺などは、住空間に印象的な風景をつくり出しています。住まいに新しい価値を見出すようなイメージで中庭空間を設計させていただきました。

海老名市K邸/2021年

平屋建プランをご希望でした。二世帯住宅で居室が多くなる点で、奥行きのある建築物になりやすく、採光や通風に工夫が必要でした。また 居住人数が増えると一方通行の動線計画では空間的な階層ができやすく、同一フロアで自由に繋がることのできる平屋建てのメリットが薄れると考えました。計画では、建物の中心に約9帖の屋外空間(中庭)を設けることで、採光と通風を補い、またこの場所を中心に建物全体の動線が回遊可能なものとして設計させていただきました。共用居室である約25帖のLDKスペースやゲストルームを兼ねた和室もこの屋外空間(中庭)に面した計画とし、プライバシーのあるアウトドアリビングやリビングバルコニーのような特性をもたせました。
画一的で均質なものになりがちな住空間に対し、光や風を感じ、屋外空間を介した風景のある日常が、住まい方に変化をもたらすようなイメージで、設計させていただきました。

綾瀬市I邸/2022年

2階リビングの構成を中心に、ご提案させていただきました。ポイントは南側隣地敷地に同規模の建築物が最小離隔で建設された場合の採光の扱い方と、開発造成により道路(駐車スペース)と敷地高低差のある約20坪の建設平場に、居住性を高めるプランを建築面積許容最大値で計画できるかどうかという点でした。主なアイデアは、2階LDKに面しプライバシーのある採光環境の良い中庭型(囲われた)ルーフバルコニーを設けるというものでした。採光を集める場所のようなイメージです。中庭型バルコニーはLDKと一体的に利用し、視覚的・機能的に広がりや習慣変革を促す要素をつくるという意味でも重要でした。下階への採光については、ルーフバルコニーに面し鉄骨階段を設け、ライトウェル(光井戸)として、1階エントランスや寝室廊下周辺に採光を導くという立体的な光の扱いを検討しました。結果的に明るく、風通しの良い空間になったのではないかと思います。プライバシーや採光について、敷地の諸条件から導き出されたキーワードを基に、ルーフバルコニーや廊下、階段など、間の存在(ニュートラルスペース)を構想の中心に設計をさせていただきました。シンプルな建築構成程、間の存在(ニュートラルスペース)を上手く扱えるように感じたプロジェクトでした。

茅ヶ崎市C邸/2020年

中高層住居地域である開発敷地の特性上、低層住居地域と異なり、隣地住戸と近接して建設が行われることが予測できました。32坪の敷地に対し、駐車スペースと外部空間を計画し隣地の日影の影響を受けにくい中庭(センターコート)案をご提案させていただきました。住宅密集地において、各居室が中庭に面したプライバシーのある空間配置となるよう計画させていただきました。プライベート空間では、余剰空間が日常生活において、より有用なものに感じられるよう計画させていただきました。中庭から各居室へ、心地よい光と影をもたらします。セメントパネルのアクセントウォールは、住空間に印象的な風景をつくり出しています。中庭が、新しく住まい方に変化をもたらすような空間イメージで設計させていただきました。

秦野市KZ邸/2015年

奥行のある敷地に対し二世帯の間取上の関係性や敷地に対する採光の取り方についてご要望がありました。
各世帯の平面的なボリュームと敷地の採光特性から南に面した中庭と2階ルーフバルコニーを中心に配置計画を行いました。中庭はスクリーンを設けることでプライバシーを確保し、内部空間との延長で柔らかく世帯間に存在するようなイメージです。
各世帯をつなぐ要素として1階は中庭に面した路地を計画し、2階はリビングに続くルーフバルコニーを計画しました。光や風の溢れる外部空間を介し家族が自然につながる、緩やかにつながる空間イメージで住まい方を捉えました。
光や風は居住環境を創り上げる大きな要素です。この要素が建築を介し日常生活をより豊かなものに感じさせてくれる、そんな想いで設計させていただきました。

秦野市AZ邸/2014年

敷地の広さをいかした平屋建ての建物構成を中心に検討しました。プライバシーに配慮しながら敷地特性を活かすという点で、開きつつ閉じるテラスハウスのような中庭のある住戸イメージで計画しました。ゾーニングはLDK棟・子供部屋棟・浴室寝室棟の並列した3つのボリュームを設定し中央を貫通するイメージで廊下を計画しました。この方法により凹凸のある平面形状でプライバシーのある4つの中庭(バルコニー)を計画することが可能でした。
各中庭は対面する居室の用途によりイメージや大きさを変え特徴をつくることができます。(リビング・子供部屋・ゲストルーム・浴室などの前に中庭がある計画としました)中庭は室内から段差なくアプローチでき、室内との一体感を感じる外部空間となります。プライバシーを確保しつつ内部は中庭を挟んで対面する集いの場となる、敷地規模を活かした建築計画となっています。機能や効率だけを求めた住空間にはない生活の豊かさをテーマに設計しました。

本井建築研究所一級建築士事務所

■神奈川 東京 横浜を拠点に商業建築・住宅建築の設計デザインを手掛ける建築設計事務所です。
■光や風、自由な間取りをテーマに大切に長く使える「クリエイティブなモノづくり精神」で設計活動をしています。
■「敷居は低く志は高く」お客様とのコミュニケーションを大切に設計してゆくのが私たちのスタイルです。
 
We are a small architectural practice designing residential and commercial buildings.
We plan buildings and interiors with flair.
Our aim is that each building will have its own timeless character.
 
Motoi Architects Inc.
Senior Registered Architect Office
629-6 Kozono,Ayase City,Kanagawa
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